雑記9

アイコン化された建物たち

 

小学校を思い浮かべてください、と言われたらおそらく大多数の人が真ん中に時計の塔が立ち、その塔を中心線とした左右線対称で窓が均一に並べられた白い箱を思い浮かべるだろう。というかそうであって欲しい。(バルコニーの有無は問わない。)

 

工場を思い浮かべてください、と言われたらギザギザ屋根に煙突が立ったもの、ではないだろうか。

 

摩天楼を思い浮かべてください、と言われたら高く高くそびえ立つガラス張りのビル。アパートを思い浮かべてください、と言われたら外階段、外部の片廊下のついた木造2階建。

 

このような、あるビルディングタイプに対して形が一対一の関係である程度想定できるもの、大雑把に言えばアイコン化された建物というのは見回せばいろいろある。

 

それぞれの機能に最適化された形態なのだからそれはその通りであり「当たり前」のことなのだけど。

 

ここでアイコニック建築の話に逸れると、コールハースやらヴェンチューリやらの方が思い浮かぶけれど、「あひる」と「装飾された小屋」についてではないので……

 

もっと単純に【小学校=凸】この形という方程式を多くの人がそれを否定も肯定もせずに受け入れているという事実が面白い。

 

凸←この形に対しては「ハコモノだ!」とか「つまらん!」みたいな批判はあるだろうが、小学校といえば凸←これであるということに批判はないだろう。

 

凹これでもなく、⬜︎これでもなく、凸これなのだ。

 

いや、もしかしたらもう若い世代はそんな形ダッセェ〜とか言い、また別の形に置き換わってるかもしれない。でもGoogleで小学校 イラストと検索すればまだまだこの形がたくさん出てくるから現役ということにする。

 

なにより面白いのは、僕の母校はそんな形をしてなかった、ということだ。さらに言えば、凸型をした小学校に通っていた人はどちらかと言えば少数派になるんじゃなかろうか。

 

すなわち、実際の建物の形と頭に刷り込まれた小学校といえばの形に乖離がある(ような気がする)。

そしてそれをあまり気にもせず僕も含め多くの人が受け入れている。まあ気にしたってしょうがないことだが。

 

果たして10年か20年後の若者に「簡単に小学校を図案化して描いてみてください」とお願いした時、どんな形を描くのか、はたまた今と変わらないのか、楽しみにしている。

 

(ちなみに言えば、僕はまだ「家といえばどんな形?」と問われれば、寄棟、切妻、時々入母屋を思い出すし紙に描く。断面でいえば例の五角形、家型というやつだ。住んでいるのは陸屋根のマンションなのに。

 

逆を言えば駅というものはあまり固定化されていない。田舎の駅はすぐ思い浮かぶが、都市の駅はほぼ毎日使っているし、体験しているのに。

いや、なんとなくは形にできるのだけど、いろんなレイヤーを重ねて輪郭がぼんやりしている感じでビタっとこれだ!というのはない。)